厳冬の寒さも、三月に入り寒暖を繰り返し、それぞれ寒の時も暖の時も徐々に気温が
上がり、彼岸の中日を過ぎるとようやく春らしい陽気になるようです。
ふりかえれば、去年の秋は彼岸を過ぎても残暑厳しく秋らしく陽気もなく、いきなり
冬が来て雪国の方々は雪の災害に見舞われ、頭が下がる思いです。年明けて二月の終わ
りには2011年の被災地大船渡に山林火災、2424人が避難生活を強いられ、人類の手によ
る消火活動では追いつかず、自然の恵みたるまとまった降雨により火勢が収まり、発生
から12日目に避難解除されたそうです。自然大災害は人類の手では、為す術無しの現実
を見せられました。
さて二十日は彼岸の中日、当山では彼岸の法要を執り行います。此岸から仏の世界を
彼岸と見たせた彼岸の行事、これは彼岸に到達するため、静かな心にする修行の1週間
です。今いる自分は、過去にいるご先祖からつながれ、今いる自分は、未来へとつなぎ
ます。過現未のつながりを絶やす絶やさぬは、今いる自分に他なりません。自分は一人
ではない、森羅万象とつながり生かされております。そう感じるとお陰様の心持ちとに
なり、仏の心で生きる人となります。実は仏の心で生きる人のいる場所を彼岸と呼びま
す。幸せの彼岸は遙か彼方ではなく、私たちのすぐ近くにあります。穏やかな春の到来
はすぐそこ、万物の生命と環境を尊重しいのちに合掌。
『暑さ寒さも彼岸まで』
